「聞いてほしい。」
「私の人生において、体験した話。」
神妙な面持ちで彼女はつぶやくように言った。
勇気を振り絞るかのように、重い口を開く。
「私、痴漢にあったの。」
※こちらの記事は嫁の告白を聞き、内情を個人的にまとめたものとなり、実際の物事や心情が異なります。また痴漢を推奨しているものではありません。痴漢は犯罪です。
初めての痴漢
これは私が高校生の時の話だ。
私は純真無垢でか弱い、NEWSの手越君を追いかける夢みる少女だった。
穢れをしらないそれはそれは美しい娘っ子だったの。
その日、天王寺に友達と遊びに行き、みんなとお別れをして一人で電車に乗っている時だった。
電車はそれなりに混雑していたのか、立っていた記憶がある。
そして、つり革を持たないのが私のポリシー。
つり革に体重を預けるぐらいなら私は持たない。
どんな揺れに対しても即座に対応できるように鍛えているのだ。
しかし・・・・・・
おや・・・・・・・・
おかしい・・・・・・・
どうもお尻のあたりを誰かが触っている気がする
私のお尻を・・・・
誰かが・・・・・・
電車から降りる時、私は振り返りました。
そこには男性が立っていました。
40代~50代のおじさんでした。
私は開口一番こういいました。
「あ、ありがとうございます。」
?
その時、おじさんは驚愕的な顔をしてこちらを見てたのを覚えています。
あの時はお尻の糸くずを取ってくれたのだと思ってたのです。
まさか・・・
まさかアレが痴漢だったなんて・・・・・・・・
再び電車で痴漢
あれが痴漢だと気づいたのはこの話をお友達にしてから知りました。
まさか痴漢に会っていたなんて・・・・
お尻の糸くずを取ってくれたわけではないことは、あのおじさんの顔を思い出せばすぐに理解できた。
お礼を言ったときにすんごい変な顔でこっちを見てたの。
すんごい変な顔で。
あれは痴漢なのだ。
おじさんが女子のお尻に触れることを痴漢というのだ。
私は痴漢されていた。
許せない。
私のケツに触れるものは悪なのだ。
こうして悪を知った私に再びその日が訪れた。
「・・・・(これは痴漢だ)」
この間とは違う人だ。
なんだ?お尻を触るのが流行ってるの?
今度はお礼など言うものか。
許さぬ。
許さぬよ。
電車から降りる扉が開いた。
私は振り返り、
カッ
と、睨みつけてやった。
カッ
とね。
相手は相当びびっただろうね。
私はもう汚れてしまったのだ。
か弱い私さようなら。ようこそ痴漢に負けない強い私。
こうして私は大人の階段を登っていった。
痴漢は予想外なところで起きる
人生でこんな日が来るなんて思っていなかった。
私は泥水をかぶりながら空を仰いでいた。
まさか自転車で走行中に真っすぐドブに落ちるなんて誰が想像できようか。
痴漢を経験してから高校生になり、幽遊白書でオタクを学んだ私が目のまえがドブで真っ暗だった。
車通りの多い道で、盛大に宙を舞ってドブに着地した私を見物者が集まってきて、恥ずかしく穴があったら入りたい。。。。。。
まぁ、アナに実際入っているのだけど・・・。
そんな私を助けるべく、女性、女性、男性と大人3名が助けに来てくれた。
感謝しかない。
大人たちが私を起こしてくれようとしている。
しかし・・・・・・・。
おや・・・・・・・・。
なんだこの脇から延びる腕がどうにも違和感がある。
私を脇から抱え起こそうとしている40代~50代のおじさん。
オイオイオイオイオイ。
テメーわしの乳触ってるやないケェー!!
偶然やないで。
何回もちょっと揉んでるじゃないか?
おかしい。おかしいデ。
しかし、わしは助けられてる身・・・・・・
そして両サイドに女性が私をささえてくれている。
通行車からの視線をくぎ付けにしている。
は、恥ずかしい・・・・・。
後ろの中年男性はわざとなのか???
もう何回も触っているところを感じるとわざとなのだろう。
分からないワケないじゃないか。
クソッ!!どうすればいいのだ・・・・。
・・・・・・
もういいッ!!
揉めいッ!!
早うわらわをここから上げいッ!!
一刻も早くドブからわらわを引き上げいッ!!!
構わぬッ!!
この状態では怒るに怒れぬッ!!
フンヌッ!!
ホレッ!!
早う!!
早くせぬか軟弱者ッ!!
揉んでる暇などないわッ!!
早うわらわを引き上げぇぇぇーいッ!!!
引きアゲぇぇ――イ・・・・・・・
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「これが、私の痴漢体験よ。」
まっすぐにこちらを見つめる彼女の瞳はそれはそれはもう立派でした。
おわり(痴漢には気を付けよう